15:帰れ

学園長の庵に至急教師と6年生が集められた。その中に、伊作の姿は無い。
最後にやって来た仙蔵は、静かに学園長に向かって頭を下げた。長い艶のある黒髪が床に垂れる。

「申し訳ありません。私の不注意で、伊作を見失いました」
「仙蔵!お前がいながら―――」
「良い。あの善法寺伊作が命令に背き、部屋を勝手に出て行くのは予想出来ぬ事じゃった」

予想出来ないと言う割に、学園長は仙蔵の謝罪をあっさりと受け入れた。学園長が受け入れるのなら、文次郎にこれ以上文句を言う事は出来ない。ぐっと拳を握って黙り込む。

「同時にいなくなったという、例の娘も一緒にいるのじゃろう」
「誰も抜け出したのを知らないようです。小松田くんも2人を見ていないそうですし」

土井は神妙な顔付きでそう述べる。
事務の小松田は、入門や出門の際に必ずサインを貰うという恐ろしくも頼もしい特技を持っている。それが例えプロの忍者だとしても変わらない力だ。しかし、その小松田でさえ忍たまである伊作と娘の姿を捉えられなかった。

「食満留三郎、娘の様子はどうであった?」
「大分落ち込んでいる様子でした。しかし、特に取り乱したりなどはありません。食事も取っていました。それと……」
「何じゃ?」
「伊作の事を気にしていました。とても仲が良かったからでしょう」
「なるほど。やはり、天恵の娘は伊作と一緒なのであろうな。あの精神状態でよく術を遣えたものじゃ」

魔法の使用には、強い精神力と安定が必要になってくる。強引に捕縛されるという孤独の中、魔法を遣うのは難しいはず。伊作の支えがあればこそ、魔法を遣えたのだと推測される。

「恐らく、裏々山へ向かったのでしょう。身を潜めて夜をやり過ごすにはもってこいの場所ですからな」

山田は地図に指を滑らせた。一度身を隠し、体勢を立て直すのであればそこが1番良いと判断される。

「村人たちが先走り、娘を捕まえる恐れがある。そうなればわしらの手には負えぬぞ。娘は天恵の力を持っておるからな……領主に献上されてしまってからでは遅い」
「あの娘の天恵の力はどんなもんなんですか!?」

この空気を破る元気でハキハキとした声が響いた。小平太である。

「鉢屋三郎によれば、時を操る力があるという。時を止めたり、早めたりのう。それを遣い、この学園から逃れたのであろう」
「おー、そいつはすごい能力ですね!すごく便利そうだ!」
「小平太……」

呑気に感心している小平太を長次が諌める。

「しかし、娘さんは戦えるような素振りは無い。怪我もしているから、術も長くは保てないらしいぞ」
「そうでしたか。時が操れるとは脅威を感じましたけれど、そこまで警戒する必要も無さそうですね」
「いや、油断はするな。何せ相手は年若くとも天恵。我々の想像を超える力だ。遣い方次第で、善にも悪にも成り得るもの。戦国の世では、こうした天恵たちが暗躍しているだろう?見た目に騙されるな」

土井に返事をした仙蔵に対し、文次郎が警戒心を剥き出しにする。一般人からすれば、魔法遣いはいつの時代も同じ扱いを受けるらしい。

「6年生は、5年生と4年生を引き連れて裏々山へ向かうように。伊作と娘を確保しなさい。先生方は村人を見つけ次第何とか誤魔化して時間を稼ぐのじゃ」
「抵抗した場合は……、どうしますか……?」
「そのときはこちらも手を出すしかあるまい」

ずしりと重い空気がこの部屋に圧し掛かる。例え学園の生徒でも、魔法遣いと一緒になって向かってくるのであれば、応戦せざるを得ないだろう。
この学園を卒業して他国の城に就職すれば、敵同士になる事もある。6年生ともなれば、誰もが覚悟するべき問題だ。しかし、それが今やってくるとは誰も思わなかった。

「では、直ぐに取りかかれ!」
「「「御意!」」」

あっという間に庵にいた全員が姿を消した。しんと静まり返った庵の中、残された学園長は熱いお茶を啜る。

「今夜は賑やかになりそうじゃ……」

コトッと茶卓に湯呑を戻す音だけが響いた。














暗い森の中、伊作は草むらの中に身を潜めて様子を窺った後、を呼んでしゃがませた。

「大丈夫だ、。まだここに追手は来ていないよ」
「…………」
?どうかしたのかい?さっきからずっと黙っているけれど……。それに、震えている……」

は伊作の言葉など耳に入っていないのか、ガタガタと身体を震わせ怯えているように見える。しかし、が震えている理由は伊作の予想とは全く別の物だった。
は今にも涙が決壊してしまいそうな表情で伊作を見上げた。

「伊作……あたし、伊作に話さなくちゃいけない事が、あるの……」
「話?何だい?」

なるべく優しい声でを気遣った。

「あたしが過去に―――伊作たちが生きる時代に来た目的は、夏休みの宿題だって話をしたよね?昔の地理を知るためだって……」
「ああ、そうだったね」
「でも……、本当は違うの……」
「え?それじゃ、いったい何のために?」

ごくりと喉を鳴らし、は声を震わせながら言った。

「あたしが本当に調べていたのは、昔の地理じゃなくて昔話よ」
「昔話?」
「そう……。あたしの時代には、ある忍者の話が昔話として残ってるの。その忍者は、仲間を裏切って村を潰した殺人鬼と手を結んだ……。昔話の題名は、【裏切り者の伊作】……、つまり……それは……っ」
「まさか、僕とキミか……?!」

は頷くだけで精一杯だった。涙が零れ、は白い頬を濡らす。
伊作はから真実を聞かされ、驚きに声を失っていた。この驚きをどう表現したら良いかわからず、目を丸くする。
今まで謎とされていた善法寺伊作の物語は、こうして一本の糸に繋がった。しかし、それはあまりにも意外過ぎる展開だ。

「殺人鬼の正体は、村を壊滅させたという容疑がかかったあたし。そして……、善法寺伊作が仲間を裏切って殺人鬼と手を結んだのは、殺人鬼―――あたしを助けるためだった……。この昔話を作ったのがあたしだったなんて……」

既に完成した物語だと思い込んでいたは重要な事を忘れていた。室町時代には、【裏切り者の伊作】がまだ完成していない。これから派生する物語である事を。
は溢れ出る涙を必死で拭いながら、頭を下げた。

「伊作、ごめん……ごめんなさい……!あたしが早くこの事に気づいていたら……っ、伊作は学園を裏切ったりしなくて済んだのに……!!あたしは、こうなるってわかっていたはずなのに……!!」
……」

村を滅ぼしたとされるを解放し、その逃亡の手助けをしているとなれば、伊作もただでは済まないだろう。学園関係者だけでなく、生き残った村人たちも血眼になってを捕らえるに違いない。

「そうか、僕はにとっての過去だったよね。……その話の中で、僕たちはどうなったの?」
「殺人鬼はどうなったのかはわからない。だけど……伊作は詳細はわからないけれど死んだって書かれていたわ……」

伊作は考え込むように俯く。

(学園に戻ったとしても、が学園に匿われているのはもう知れている。村人たちはまだ近くをうろついているはずだ。学園には帰れない……。そうなれば……、やっぱり僕がすべき事は1つだけだ)

伊作は一瞬悲しそうに目を細めた後、真剣な顔付きでの肩に手を置いて語りかけた。

、キミはキミの時代に帰るべきだ」
「!?」
「これ以上ここにいたら、キミの命が危ない。情けないけれど、今の未熟な僕じゃ、キミを護り切るのは難しいんだ……。だから、僕が出来る最大の手段でキミを護るよ」
「そんな、帰れって言われても……今伊作の傍を離れたら、伊作が殺されちゃうかもしれないじゃない?!あたしがいなかったら、逃げ切れるかわからないのよ?!」

いや、きっと殺される。天恵の存在は戦をしているこの時代にとって、喉から手が出るほど必要とされているはず。その天恵であるを逃がしたのであれば、伊作を罰する人間は必ず現れるだろう。

「あたしは伊作の傍にいる。傍にいたい!」
「ダメだ。、どの道僕たちはこのままじゃ逃げ切れないよ」
「だったらいったいどうするの……?」
「僕がキミを殺す振りをして、完全に諦めさせる。死んだ天恵は使えないだろう?それを周りに見せつけたら、キミは元の時代に帰るんだ。キミの時代で決まっている運命は、その通りにしなくちゃならない。未来が変わってしまったら、キミにも影響が出てくるかもしれないだろう?」
「そんなのダメよ!伊作がいなくちゃ……意味なんてない!」
、キミは―――」
「伊作ッ!」
「!」

は伊作の言葉を遮って縋る様に腕を掴み、涙ながらに訴えた。涙が幾筋も零れるところを伊作は見つめている。

「あたしも、伊作を護りたいんだよ……。わかってよ、お願い……っ」

は『それに……』と話を続ける。

「あたしは帰る手段が無いわ。魔法の力を増大させる砂時計を落としてしまったし、仮に持っていたとしても、あたしは魔法を遣うつもり無いもの」

帰りたいと強く願っていたのが嘘のように、今は帰る気になれなかった。伊作を暗い森に置き去りにして帰るなどゾッとする。

「……それなら、僕が持っているよ」
「えっ?」

伊作は懐から仙蔵に渡された砂時計を取り出した。砂時計は相変わらず淡い光を放っている。

「嘘……、どうしてそれを伊作が?」
「村の調査をしていた僕の友達が持ってきてくれたんだ。これではいつでも帰れる」
「……言ったでしょ?あたしは伊作を置いて帰るつもりは無いって。魔法は遣わな―――」
「いたぞっ!!あそこだ!!」
「「?!」」

振り返ると、松明の灯りが沢山見える。伊作はそれが誰なのかを確かめる事もせず、背中を向けた。の手をしっかり握ると走り出した。

「待て!逃げるな!」

怒号が耳に届く。あれは潮江文次郎だ。ギンギンに忍者しているだけあって、闇の森の中でも伊作たちを素早く見つけ出したのも彼である。文次郎を先頭にして6年生が後を追いかけた。

「伊作!聞こえてるんだろ!どうしてその娘の肩を持つんだ?!」
「好きだからに決まってるだろう」

伊作の代わりに斜め後ろを走る仙蔵がぼそりと呟いた。その声は草木を掻き分ける音に紛れ、文次郎の耳には入って来ない。
を連れているため、伊作は彼女の足に合わせなければならない。当然2人と6年生たちの距離は徐々に縮まっていく。

「伊作!私たちから逃げ切れるわけないだろ!」

小平太は苦無を片手に走った。彼の言う通り、逃げ切れるような状況ではなかった。

「何でこんな事してるんだよ!おいっ!」

逃げ切れないと判断したのか、人の背丈ほどのある岩を見つけると、伊作はその影にを隠して様子を窺う。6年生たちはようやく追い付き、じりじりと伊作とに近づく。空気が張り詰め、は怪我をした左腕を庇いながら恐怖に身を竦めた。

「……文次郎、キミは前に『忍者に大切な事は正しい心だ』って言ってたよね?」
「それがどうした?」
「僕は、僕が正しいと思った事をしているだけだ。彼女は渡せないし、僕はここで捕まるわけにはいかない」

伊作は苦無を握って構える。その横で伊作を見ていたは息を飲んだ。伊作がこうして武器を取り、忍者のように振舞うところを見るのは初めての事。優しく接してくれたあの伊作が、武器を手にしている。しかも、武器を向けているのは学園の仲間だ。

(こんな状況を作り出してしまったのも、あたし……)

後悔の念で胸が押し潰されてしまいそうになる。

「この人数相手に戦うつもりか?」
「…………」

食満の低い問いかけに伊作は答えない。返事の代わりに苦無を握る手の力を強めた。
文次郎が一歩前に出たとき、草むらがガサガサッと音を立てた。音と同時に飛び出してきたのは、以前を追いかけて来たあの村の男たちだった。手には鎌や刀などを持ち、それを6年生たちに向けて威嚇する。

「何だお前ら?!」
「おめぇらこそ、天恵をどうする気だ?オラたちが先に見つけたんだ」
「村をめちゃくちゃにした天恵を、殿様に差し出す!邪魔はさせねぇ!」
「あのときはあの子供に丸め込まれちまったが、今度はそうはいかねぇぞ!」

村人たちは学園の外にが出て来る機会を窺い、この森に隠れていたようだ。
伊作がこの混乱という好機を見逃すはずがなかった。懐から煙玉を取り出し、素早く火を点けるとそれを村人たちと6年生たちの間に投げた。破裂した煙玉は煙を撒き散らし、視界を闇よりも深く覆い隠す。

「伊作!?くそ……っ」
「何だ何だ?前が見えねぇぞ!」
「伊作のヤツ、準備が良いな……」
「長次!感心してる場合じゃねぇだろ!」
「お〜流石伊作!」
「げほっ!ごほっ!何だこの煙……!天恵はどこだ!?」
「早く探すだ!!」

煙の中で困惑する声が上がっている。伊作はの手首を引っ張って再び走り出した。道なき道を振り返らずに駆け抜ける。

「伊作……!どこへ行くつもりなの?!あたしは、魔法を遣う気なんて……っ」
「どうして僕が、簡単にキミが未来から来た事を信じたのかわかるかい?」
「え……?どういう意味?」

伊作の背中には疑問を投げかけた。

、キミは術を遣わなくたって構わないよ。その代わり―――」

ざわっとの心が揺さぶられる。





僕が遣うから





今思えば、伊作は妙にあっさりとが言う事を信じたと思う。

「伊作……アンタ、魔法遣いなの!?」
「そうだよ……。僕も天恵さ。忍術学園は、そうした天恵の子を匿うためにもある。戦で利用されたりしないようにね」

ずっとはここへ来てから同じ魔法遣いを見ていなかった。そのため、自分しか魔法遣いがいないように錯覚していた。恐らくあの変装名人の三郎もまた天恵という事なのだろう。
伊作は振り向かずにを連れて走り続ける。

「キミと同じ時を操る力を僕は持っている。だけど僕は力を1度しか遣った事がない。ただの偶然だった。だから僕は天恵でも天恵じゃないという扱いを受けていたんだ。でも、今の僕ならきっと、キミを未来へ送れるはず……!」
「そんな……?!」

魔法は強い意志の元に発動する力である。伊作が一度しか魔法を遣った事がないとしても、を護りたいという強い気持ちが魔法を発現させるだろう。それをはわかっていた。

「伊作止めて!魔法を遣わないで!あたし、まだ帰りたくない……!このまま伊作を置いて行ったら、あたしのせいで……っ伊作は戦いに巻き込まれて殺されるかもしれない……!そんなの嫌だよ!!」
「僕の事は良いんだ」
「は、なしてっ!離してよ!」
「…………」

伊作はの言葉を無視してぐいぐい引っ張って走る。

「離して伊作!嫌っ!!」

が力一杯振り回し、ようやく伊作の手から逃れる。
伊作は自分の手を振り解いたの赤い痕がついた手を見て、それからじっとの目を見た。乱れた呼吸だけがこの空間に響き、伊作の慰めるような視線に耐えられずは伊作を置いて先へと足を進めた。

「はぁ……っ、はぁ……!ふ……っ!」

は体力の限界で、フラフラになりながらも一歩ずつ前に足を進める。そこは切り立った崖の上で、この夜空よりも深い色をした森が遥か下に広がっていた。強い風が吹きつけ、容赦無くの身体を煽る。長い髪が額や頬に張り付くことも気にせず、無限に広がっている足元の光景に脈打つ鼓動を更に高めた。
嫌な汗が全身から流れ出て、はガタガタと唇を震わせた。

「はぁ……、はぁ……ぁ……はぁっ……!」

背後からは伊作が現れ、の華奢な背中に言葉を投げかける。

「さあ、ここから飛び降りて」
「……っ」

が振り返ると、伊作は真っ直ぐに自分のことを見ていた。深い森を背負う伊作が月と星の光に照らされて、色素の薄い髪がそれと同じ色に重なる。

「そうすれば死ねる。キミを殺すことができる」

の背後に広がる深い森の海原。この高さから飛び降りれば確実に死が待っている。時間を操る事しか出来ないなら、崖に突き落とされて無事でいられるわけがない。天恵を欲している村人たちに見せつければ、諦めがつくだろう。もう村人たちの足音はそこまで迫っていた。
は顔を歪めて嫌だ嫌だと首を力なく振った。けれども伊作はそれを許さない。

「残念だけど、もう時間が無いんだ。僕は、キミを殺す……」
「そ、んな……!?嫌だよ!嫌!」
「怖い?大丈夫、怖い事は直ぐに終わるから」
「違うよ!あたしが死んだら、伊作が死んじゃう!!!」
「キミは大きな勘違いをしている」
「え……?」

の瞳が伊作の言葉で揺れる。涙が薄っすらと滲んでおり、伊作の顔がぼやけてしまっている。

「僕は……ううん、僕たちはみんな死んでいる。1人残らず死んでいる……」
「……伊作」
この意味が、キミにはわかるだろう?」

この時代の人間は、皆の時代には死んでいる。そうやって気に掛ける必要は無いと、伊作は訴えていた。けれども、にとって納得の出来る言葉ではない。悲しい伊作の言葉が、胸に深く突き刺さる。は目を見開いて小さな子供のように嫌々と首を振った。

「……だから、キミが心配することは1つも無いんだ」
「やだ……そんなことわからないよっ!」
「キミは生きている人間だ。だから、ここで死んだらダメだ」
「伊作……いや、だ、いやだよ……っ」

もう考えることさえ苦痛なのか、は俯いて大粒の涙を零し出した。薄い肩を震わせて、何度も嗚咽が呼吸をする度に混じった。
伊作は泣き続けるの目の前まで近づくと、足を止めた。自分に重なる月影に、は泣き腫らして赤くなった目を伊作のそれに合わせた。
伊作は言った。





帰れ




はその一言と一緒に両肩を突き飛ばされた。地面から足の裏が離れ、重力がおかしくなる。必死に両腕を伸ばすが、の腕は空しく宙をもがくだけ。寂しそうに目を細める伊作が視界から消え、星空が一杯に広がった。
駆け付けた村人たちと6年生たちが、が崖に消えていくのを見て同時に息を飲んだ。

「天恵が……っ?!」
「な、何て事をするだ……!」

伊作は直ぐに淡い輝きを放つ砂時計を崖に投げる。砂時計はの上空で星のように眩しく光り、の身体をそれで包み込んだ。伊作の魔法である。

(さようなら、。僕は何も悔いていないよ。キミがとても好きだから)

白く白くの世界を染め上げていく。が砂時計で魔法の力を増幅させたときと同じ、時を超えるときの感覚だ。世界が歪んで、白一色に変わる。
は落ちて行きながら伊作の名前を絶叫した。
伊作の耳に届いたかどうかは、確かめられなかった。




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