
拝啓、大川平次渦正殿。
日差しが段々と温かくなって参りましたね。
この度は、孫娘の忍術学園への編入を許可してくださってありがとうございます。
1つだけどうしても申し上げたき事があり、筆を取りました。
実は、孫娘には、恋仲同士を結ぶ運命の赤い糸を視る特殊な能力が備わっております。
縁結びの神社として名高い私共の一族の娘に、そのような能力が備わる傾向にあるのです。
そして孫娘は、その力を強く恐れ、赤い糸が視えなくなる方法を求めて編入を望んだのです。
忍者の学校でこのような動機を持つ事は、良くない事だと自覚しているとは思います。
けれども、どうか孫娘を見守ってやってください。
実は、私は赤い糸が視えなくなる方法を知っているのです。
赤い糸は、本人の恋が成就したときに自然と視界から消えるものです。
代々そのように口伝でのみ伝えられているので、間違いないでしょう。
しかし、本人には言い出せずにいます。
今その事実を伝えてしまえば、孫娘はきっと、目的達成のためだけに恋をするようになるでしょう。
そのような事は、決してあってはならぬ事。
私は、孫娘に幸せになって欲しい。
人を愛する喜びを知って欲しい。
心から愛する人と結ばれて欲しいと思っているのです。
勝手ではありますが、どうかこの話は内密に願います。
そして、孫娘の事を宜しくお願い申し上げます。
敬具。
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