
門の前で見張りをしている3人も、流石に疲れて大きな欠伸を1つ漏らした。
「ふあ〜、早く木下先生戻って来ねぇかなー」
「ちゃんも兵助も戻ってきから、これで生徒はみんな学園に戻ったよね。後は森で敵の動きを確認するだけ。そうは時間かからないんじゃないかな?」
欠伸を噛み締める竹谷に雷蔵がそう言うと、三郎がふと思い出したかのように口を開いた。
「そういえば、さっきの……珍しくちゃんと笑ってたよな」
「そうだな!もあんな風に笑えるようになって……。これはまさに、兵助への愛だな!」
自信満々に竹谷が言えば、雷蔵も同感らしく頷く。
「ちゃんは自分で気づいてなかったみたいだけど、兵助の事が本当に好きだよね」
「しかし、それにしたって私と雷蔵と別れた後は敵に襲われたりしなかったのか?結構タマゴテングダケの忍者は手強かったぞ」
「うん……。僕たちも隙を見て逃げるのやっとだったし」
敵の忍者は、森など密集した場所での戦いに慣れているようだった。6年生を凌ぐとされている三郎も、一対一で戦うのが精一杯だった。もし、雷蔵が駆け付けてくれなかったら、逃げる事は難しかっただろう。
「愛の奇跡ってヤツじゃねーの?」
「ハチは楽天家で良いな」
「うっせ!でも、も兵助も助かったんだし良かったじゃねぇか」
『最後が良ければ、めでたしめでたし』。そう竹谷が言いかけたところで、空を覆っていた雲が晴れ渡った。キラキラと光る星が夜空を飾り、ほとんど丸に近い月が明るく3人の事を照らし出した。
「わぁ、明るいね」
「これであの忍者共も、森に隠れ難く―――?!」
「三郎、どうしたんだ?」
「三郎?」
月を見上げていた三郎が、地面に視線を向けた途端黙ってしまった。
2人は三郎の視線を追って息を飲む。
先ほどまでは暗くて全くわからなかったが、月によって暴かれた大地には、鮮やかな赤が点々と落ちている。
ぬらりとまだ乾ききっていないそれは、門を潜り伝って忍術学園のまで続いているではないか。
その赤い液体は、人間の血である。
乾ききっていない血痕。
ということは、最後にここを門を潜った人物のものであるに違いない。
だが、久々知にはしっかりと包帯が巻かれていた。
彼らでさえ手古摺った相手。
プロの忍者とやりあって、無事のはずがないのだ。
「あのバカ……ッ!!」
三郎がそう叫んで駈け出した後に、他2人も続いて門を潜った。
そして、保健室の前の廊下で、3人は最悪の光景を目の当たりにすることになる。
13血痕