竹谷と久々知が捕えられ、連れて行かれたのは華屋の裏手にある座敷牢だった。既に日は高く昇ったというのに、ここは四方を建物で囲まれているせいで日が殆ど入ってこない。冬ならばとても寒くて耐えられないだろう。
手首には木製の拘束具を装着されており、座敷牢からは抜け出せない。しかし、2人は座敷牢から出るつもりは無いので、特に問題は無かった。下手に動けば、の立場が悪くなる。それにの証言が通れば、2人の身の安全が確保される。彼らはを信じているのだ。
竹谷は暗殺者を寄越してきた武家とのやり取りを久々知に説明した。の暗殺依頼を取り下げた事、けれど暗殺自体は終わっていない事、武家の当主―――の弟がを殺そうとしている事など、出来るだけ多くの事を久々知に伝えた。久々知は深刻そうな顔で聴き入り、竹谷が話し終わった後に重々しく口を開いた。
「……やっぱり、オレが暗殺を止めたところでさんの命が護れるわけじゃないか」
「そういう事になる。しかも殺したがっている相手が、血の繋がりは無いとはいえ、自分の弟なんだぞ?!そんなの―――って、お前全然驚いて無くね?」
「オレもさんから聞いている」
「そうか……」
は自分の事を話すような人間ではなかった。それにも関わらず、自分には話してくれた。その事実が嬉しかった分、竹谷は複雑な気持ちになった。
(つまりにとって、兵助も大事なヤツなんだな)
あちきは、この世の全ての方を愛しているんでおす。
(そんな風に言っていた。そのが作った、特別。嬉しいようでやっぱり何かフクザツだよな……)
竹谷は百面相をしていたが、ふとある事に気づいて久々知に問いかける。
「そういや兵助、お前どうしてここにいたんだ?もしかして、思い直してを護りに―――」
「オレは彼女を殺しに来た」
パッと明るい口調になった竹谷を、ズバッと久々知は否定した。それは竹谷が最も聞きたくない内容だった。
「だっ、だけど、もう暗殺依頼は取り消されたって言っただろ!?」
「それを知っていても、きっとオレはさんを殺しに行っていた」
「な……、何でだよ……?」
理解出来ないという不安が滲む目で、竹谷は久々知を見る。久々知はその目を見つめ返す事無く、ただ前を見据えていた。薄暗い座敷牢の中で、久々知の顔は余計に暗く見える。
「八左ヱ門だったら、彼女をどんな相手だろうと護る道を選ぶんだろうな。だが、オレには出来ない。プロの暗殺者は、これから先もずっとさんを狙ってくるんだぞ?忍たまのオレたちで彼女を護り切れるのか?出来るわけ無い……。だったら、さんの命を誰かに奪われないようにするしか無いじゃないか」
「それでを殺すのか?お前が?!お前、が好きなんだろ……!?」
思わず声が大きくなる。竹谷は怒り心頭といったところで、もし手錠が無かったら掴み掛る勢いだ。
久々知は目を見開いて一瞬だけ怒りの表情を見せる。しかし、直ぐにギリッと奥歯を噛み締めて自分を諌めた。その怒りを竹谷にぶつける資格が無いと気づいたからだ。
「……オレは彼女を殺す直前までいった。彼女もそれを受け入れてくれた。でも、それは結局オレを助けようとしてくれてただけった……」
には、いつでも人生の終止符を打つ気持ちがどこかにあったのかもしれない。けれども、久々知の苦しむ姿を見かねたのだろう。
竹谷にも覚えがある。
「オレ、を身請けしようとしてたんだ」
「?!」
に想いを寄せているだろうとは思っていたが、竹谷がここまで真剣に考えているとは予想していなかった。
「八左ヱ門、知っているか?女郎は身請けを断れない仕来りがある」
女郎は遊郭において商品だ。商品が口を挟めるはずがない。商品の所有者は、見世の主である楼主で、楼主が身請け人と交渉して決めるのだ。楼主が頷けば、女郎はそれに従わなくてはならない。
久々知の言葉に、竹谷は目を大きく見開いた。だが、次に紡ぎ出された言葉は、『そうだったんだな』という静かで悲しみの混じるものだった。
「やっぱりは身請けを望んでいなかった。望んでいなかったのに、オレはそれが1番のためになるって信じてて……」
「そうか……」
久々知はぐっと拳を握りしめた。
竹谷の怒りはいつの間にか消え、続いて浮かんできたのは、もやもやとした悲しさとに対する気持ちだった。
久々知も、と出会ってまだほんの僅かだというのに、色々な感情に出会う日々だったと振り返る。
深刻な事態になっているにも関わらず、竹谷は世間話でもするかのようなノリで笑った。
「ってさ、全っ然自分を大事にしてないよな〜。そもそも自分を大切にするとか、そういう概念がまるで無い感じじゃね?それすら知らない、みたいだろ?」
「確かにそういうところはあるだろうな。何と言うか、掴み所の無い雰囲気の人と言うか……」
「だよな!でも、その分他人の痛みに敏感で、相手を1番に考えられる人っつーか……。多分無意識だろうけど」
「オレの事をすごく考えてくれていたと思う」
「あ!それは兵助だけじゃねぇから!オレの事だっては考えてくれてたから!」
『だから、さ』と静かに竹谷は言う。
「に気づいて欲しい。もう、は自分だけの自分じゃないって事に。それに気づいたら、きっとは自分の事も大切に出来る。これは、オレのエゴだけの問題じゃない。もっと色々な世界を見てから生き方や死に方を考えてもおかしくない!そうだろ?」
真っ直ぐに落ちてくる竹谷の言葉に、久々知は久しぶりに屈託のないな笑みを浮かべて頷いた。
「八左ヱ門、オレはさんを殺そうとした。その寸前までいったが、敵が侵入してきたとき、オレはさんを護りたいって強く思った。殺そうとしていたのに、おかしいよな……」
「兵助……」
「でも、わかった事もある。1人ではどうにも出来ないかもしれない。けれど、オレと同じようにさんを想っているお前となら、オレはさんを護れる気がする」
恋という感情に振り回され、周りが見えなくなっていた。それが自覚出来た今なら、久々知は愛する人と向き合えるはず。
「『気がする』じゃねぇよ。絶対に護れる!何でも独りで解決しようとするなって。一緒に、が殺されずに済む方法を考えようぜ!」
「ああ、そうだな」
険しい表情ばかりが多かった久々知に笑顔が戻る。
「ようやく笑ったな、お前。あの夜、お前と鉢合わせしたときはどうなるかと思ったけど、何とかなるもんだ!うんうん」
「…………」
「ん?何だよ?」
竹谷はじっと見られて頭に疑問符を浮かべる。
(八左ヱ門は……、恐らくさんが石女という事を知らされていない)
竹谷は良く笑う。その表情は眩しくて、まるで暗闇を照らす朝日のように見える。
(そんな竹谷の顔を暗くするような話を、さんはきっとしたりしないんだろうな……)
の性格を考えれば、直ぐに気が付く。
自分には話せて、竹谷には話せない事。
これをどう受け止めれば良いかわからないが、の竹谷に対する心遣いや自分に対する想いを感じ取れた。
(オレから話すような内容じゃない)
久々知は喉奥に言葉を封じ込めると、振り切るように別の話題を投げかけた。
「何とかなっていない部分もあるぞ」
「え?」
久々知が珍しく意地悪そうな表情を見せた。まるで変装名人の彼みたいに。
「オレは彼女の事をお前に譲る気は無い」
はたと言葉の意味を理解出来ず、一瞬呆けた竹谷だったが、そういう事かと理解して慌て始める。
「オレだって、の事は譲らないからな!どうせお前は毎日豆腐をに食わせるんだろ?!」
「豆腐をバカにする者は、豆腐に泣く」
「意味わかんねぇよ!お前は豆腐とでも結婚すれば良いんだ!」
「さんと豆腐と結婚する」
「バカだよね?完全にバカだよね?お前」
「豆腐をバカにする者は、豆腐に泣く」
「はい!大切な事だから2回言いました!」
「とにかく、まずこの状況をどうにかする必要が―――」
「おい、小僧共」
「へっ?」
格子の向こうに人影が現れた。この見世の妓夫である。ぎゃいぎゃいと言い合うところを見ていたらしく、呆れたように2人に言った。
「楼主様がお呼びだ。出ろ」
「え?ここから出られるのか?!」
「出られるっつっても、楼主様が御沙汰を決めるだけだ。場合によっちゃ、一生ここから出られねぇだろうさ。タダ働きとかさせられてよ」
大事な商品である女郎を狙う暗殺者と誤解されれば、何らかの処罰は下されるだろう。特には、花魁ではないとはいえ、人気のある女郎だ。楼主の怒りを買うのは間違いない。
「そ、それは困る!」
を遊郭から連れ出したいと願う竹谷にしてみれば、ミイラ取りがミイラになるも同然だ。
騒ぐ竹谷に対し、久々知は冷静に状況を理解しようとする。
「さ―――散茶の女郎はどうしていますか?」
騒ぎの元凶となっているの安否を確認したかった。
「さぁな。けど、他の花魁よりも楼主はあの女郎を気に入っているから、悪いようにはされていないだろ」
それを聞き、久々知は安堵したように息を吐いた。
手錠が外され、ようやく2人は座敷牢から出される。と離れて半日以上が経っていた。
たかだか半日だというのに、2人にはとても長く感じられ、一刻も早くの姿を目に映したいと願った。
連れて来られた楼主の座敷は、壁や天井に派手な龍や鳳凰などの絵が描かれており、どの部屋よりも凝った作りをしていた。
ここにの姿は無い。血のように赤い牡丹の掛け軸を背にした楼主が、正座して座る少年2人に対し、随分と寛いでいる。
金の煙管から白い煙を吐き、気怠そうに楼主は言った。
「から話は聞いたぜ。お前らは、を狙う不届きな野郎たちを追い払ったんだってな。その辺は礼を言っておくぜ。ありがとよ」
と言いつつも、2人には全く感謝の気持ちが伝わってこない。かなり適当な態度に、色々と不安になってくる。
「けど、結局見世の妓夫にとっ捕まえさせたんだったんだな。ははははっ!やっぱお前らは忍たまだな。プロの暗殺者相手に真っ向から戦うとは、無謀過ぎて笑わせてくれるぜ」
所詮忍たまとあしらわれ、竹谷の頭に血が上っていく。しかし相手は楼主だ。この見世の持ち主を相手に反論をするのは避けたい。竹谷は感情のまま矢羽根を久々知へ飛ばす。
『兵助!最初も思ったけど、こんなオッサンが楼主ってマジかよ?言ってる事は当たってるけど、腹立つなおい!』
『それより、プロの暗殺者を全て排除したっていうところに注目すべきだろう?そんな男衆たちを束ねているこの楼主……いったい何者なんだ?』
「つまんねぇお喋りなんざしなくても、オレや見世については今から説明してやるって」
「「?!」」
2人の心臓がドキリと跳ねた。
「な……?!え?!何で?オレたち、一言も話してなんか……!?」
竹谷が驚き問いかけるのは無理も無い。先ほどのやり取りでは、一言も発していない。矢羽根は常人には無意味な音にしか聞こえないはず。楼主の物言いは、まるで先ほどの矢羽根での会話を知っているかのようだ。
楼主はケラケラと笑って言った。
「その矢羽根、忍術学園で教えられたものだろ?そりゃわかるっつーの。何せオレ様は忍術学園の卒業生だからな」
「え?!アンタが?!」
「ああ、そうだ。オレの親父の先代楼主も、学園長先生とは長い付き合いがあった。この見世はそういう縁もあって、贔屓にしてもらってる」
「なるほど。だから、矢羽根もあなたには筒抜けだったというわけですね」
「そーゆー事。遊郭には、情報を求めて侵入してくるヤツらも多い。華屋の妓夫たちは、そういう連中の相手も出来る忍者だ」
「つまり、楼主も妓夫も忍者だらけの見世ってわけかぁ……」
そう考えると何だか恐ろしい。
「情報が外部に漏れないという意味でも、大尽たちから信頼を得ている。それなのにこの騒動だ。見世の評判が落ちでもしたら、どう責任を取ってくれるんだよ?また座敷牢に入れて、天井から吊り下げて鞭打ちにするか?それとも燻すか?ん〜?好きな方を選んで良いぞ。あ、水責めでも良いなぁ」
「「ひっ?!」」
ゴゴゴゴゴ……、という威圧の重低音が楼主から聞こえてくる気がしてならない。
だが、直ぐに楼主はパンと両手を叩いて再び胡散臭そうな笑顔に戻る。
「ははははっ、何本気にしてんだよ?冗談だ」
「冗談かよ?!」
「オレ様もそこまで心狭くねぇよ。何だかんだで忍術学園には感謝してるからな。学園の生徒であるお前らなら、クソガキだろうと今回の騒動は大目に見てやんよ。それに、変質者共は一人残らず捕まえられたしな」
「たっ、助かった〜〜〜……!!」
「危うく五体満足でいられなるところだった……」
ホッと胸を撫で下す2人。けれども問題はこれで終わっていなかった。
楼主は少し低い声で言う。
「変質者共はいくら折檻してもどこの者か全く吐かねぇ。を襲う目的や、誰に雇われているかがわからん」
「それでオレたちを呼んだんですね」
「そうだ。お前ら、何か知っているなら正直に話せ」
「「はい」」
久々知は、掻い摘んでこれまでの経緯を話した。竹谷は久々知の話に付け加える形で、暗殺を依頼しているのがの実家の当主―――の弟だという事を説明した。楼主と同じくその事実を知らなかった久々知も、黙って聞き入った。
「―――そうか、の弟が……」
「はい。理由まではわからないけれど、間違い無くの弟が、の命を狙ってるんだ。名前は、ヨシチカって呼ばれてて……」
「お前らと同じ年頃で当主になった武家なら、恐らくの由親様だろ。かなりデカい家みたいだな。の養子に入って、まだ元服前だっていうのに、先代が急に死んで当主になったらしいぞ」
「大層な家柄の当主が、どうしてそこまでして女郎に拘るのか……。オレには理解出来ません。ただ今言えるのは、さんをこの見世から解放して、安全な場所へ匿うという方法です。忍術学園ならば、きっと学園長先生も許してくださると思います」
「そうだ!の居所はもう知られちまってるし、これから先もこの見世は襲撃される事になる」
竹谷は楼主にガバッと頭を勢い良く下げ、必死に乞い願った。
「をここから出してやってください!お願いします!!」
「オレからもお願いします。女郎を、オレたちは失いたくありません」
久々知も竹谷と同じく、深々と頭を下げた。を自らの手で殺すのではなく、別の形で救いたいと強く思った。
「……ふぅん。お前ら、そんなにに惚れているのか」
「それじゃあ……!」
「それは出来ない相談だ」
楼主は、竹谷の期待を打ち砕くように、気持ち悪いほどにっこりと微笑んで見せた。その態度には竹谷も久々知もカチンとくる。
「何でだよっ!?」
「暗殺者に狙われる女郎は、この見世のためにもならないと思いますが?」
「それはお前らの常識だろ?ここ、遊郭は浮世離れした世界。女郎は遊郭の掟に従わなければならない。見世の楼主たるオレ様が、それを無視してホイホイ女郎を手放すなんて出来やしねぇんだよ」
女郎は位が上がるごとに金が必要になる。その費用は全て見世や旦那がスポンサー代わりになり、支払われている。遊郭の女郎たちは、多大な借金を抱えて生活しているのだ。借金が返せなければ、大門から外の世界へは出られない仕組みになっている。殆どの女郎は自力で返済する事は叶わず、一生を遊郭で過ごす。楼主はその事を言っているのだろう。
竹谷は真っ直ぐに楼主を見つめる。必死に自分の望みを訴える目をしていた。
「オレが、を身請けする!」
「オレも、金は払います」
「兵助……!」
久々知は、竹谷を見て真剣な表情で頷いた。
「女郎の安全を確保するためなら、オレも気持ちは同じだ」
力強い友の言葉に後押しされ、竹谷は再度楼主に願い出る。
「必ず払う!いったいいくら払えば良いですか……?!」
「ああ、お前がを身請けしたいと言っているもんか。小耳に挟んでいるぞ。久しぶりに聞いたな、の身請けを申し出るヤツを」
「え……?」
楼主はバッと金で描かれた牡丹の扇を広げた。そして、してやったりという顔で口を開く。
「と、同じ重さの金。それがの身請け料金だ」
一瞬、何を言われたのかが理解出来ず、2人の思考は停止してしまった。楼主の言葉を頭の中で繰り返し、ようやくその意味がわかって驚愕する。
花魁ではなく、散茶であるの身請け料金は、それよりも少なくなるはず。しかし、楼主が示してきた金額は、とても手が出せない。名のある大名でさえ。
驚きのあまり言葉を失った竹谷に代わり、久々知が困惑しながらも口を挟んだ。
「楼主様、女郎は本来ならば太夫の位。大金が必要なのはわかっています。それにしても……女郎の身請け料金、あまりにも高過ぎるのではありませんか?」
「は散茶だろうと、この見世の看板を背負っている女郎だ。そのくらいの額を出さなければ、愛しい女は手に入らないってこった」
「しかし……!」
「引く手数多だったなぁ、は。けど、この身請け料金を出すと、どの大名も尻尾巻いて逃げやがる」
つまり、を渡す気が無いのだ。
(この条件を楼主が必ず出すと、はわかっていたんだ。だからは、オレとの身請け話も受け入れるって……)
が身請けを承諾したときを思い出し、竹谷はぎゅっと胸が痛む。
久々知は唇を噛んだ。楼主の言い草には怒りさえ感じている。それでも懸命に食い下がった。
「オレたちには金は無いかもしれないですが、それ以外なら何でもします」
「オレも出来る限りの事をする。だから頼む!!このとおりです!!」
「それなら、陰間でもして稼いでもらうか?ここいらにはそういう見世だってあるんだぜ?ここで妓夫として働かせるより、よっぽど稼ぎが良いしよ」
「「?!」」
陰間。それは男娼の事を意味するくらい、2人にもわかっていた。どれほど過酷で厳しい世界である事も、この遊郭を見ていれば想像に難しくない。
「金が無いなら、文字通り身体で払え。女郎たちと同じ事をしてな」
一拍の間を開け、お互いを見て、ごくりと唾を飲み込む2人。
を手に入れるためには、金を払わなくてはならない。その額が、膨大であるかもしれないというのはわかっていたつもりだった。しかし、それはつもりだったという事を思い知らされる。そして、金さえ払えれば愛しい人の無事を手に入れられると考えていた。
久々知と竹谷の目は同じ事を訴えている。矢羽根など使わずとも決まっている。
後は、それを言葉にするだけだ。
2人が頷き合って声を発そうと喉に力を込めたとき、
「親父様っ!!」
弾けるような声と同時に、勢い良く襖が無礼な音を立てて開いた。